考えすぎずに行動。原体験に突き動かされて挑戦すればいい【有安伸宏氏 インタビュー】

今回は12/3(日)に開催された学生起業の祭典「KBC Summit 2017」にご登壇頂きました、エンジェル投資家の有安 伸宏さんにインタビューさせて頂きました!SFCの学生時代の様々な活動のお話や起業された経緯、投資の決め手などをお伺いしました。投資や起業に興味のある学生はまずこの記事を読んでから、有安さんのTwitterをフォローすることをおすすめします!

 

有安伸宏 氏

最初の起業は慶應SFC在学中の19歳。外資系消費財メーカー、ユニリーバ・ジャパンのマーケティング職勤務を経て、2007年にコーチ・ユナイテッドを創業。2013年に同社の全株式をクックパッドへ売却。2015年に8人の起業家によるファンド、TokyoFounders Fundを共同設立。日本国内だけでなく米国シリコンバレーのスタートアップへの出資等、エンジェル投資も行う。投資先はマネーフォワード、AnyPay、ママリ(KDDIが買収)等、日米に約40社。

 

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[聞き手:斎藤 話し手:有安(敬称略)]

 

体育会、ゼミを4つ、建築、投資、インターンそして起業の大学1年生

 

斎藤:

KBCは世界を変えようと思っている学生が起業という手段と取る時の一助となるためにオウンドメディアを始めました。読者には学生、中でもSFCの学生は多いと思います。まずは有安さんの学生時代のお話を伺わせて下さい。

 

有安さんは入学してから起業するまで、どのように過ごしていたのでしょうか?

 

有安:

実は学生時代はスポーツばかりやっていました。僕は慶應の内部進学をして、慶應高校から慶應SFCに行きました。今もそうかもしれないですが、当時SFCは内部生から人気がなかったんです。真面目に勉強して成績も悪くなかったので、法学部も経済学部もいけたけど、一番人気なくて定員割れしてるSFCに行くって言ったら、友達にガッて肩を掴まれて「有安、正気か?!」って言われたくらい(笑)SFCは田舎でつまらなくて「なんでそんなところに行くの?」って日吉の高校生(慶應義塾高等学校の学生)は皆思っていた。けどなんでSFCを選んだかというと、「やっぱインターネットすげー!」というのが大きくて、インターネット領域で何か商売みたいなことできたら凄く面白いんじゃないかと思っていたので、そしたらやっぱりSFCが一番いいんじゃないかなっていう確信がありSFCに進学しました。高校のときは体育会のアイスホッケー部で、大学は準体育会のアイスホッケーチームにいて、基本的にはスポーツ中心の学生生活でした。

 

斎藤:

そうだったのですね!意外です。でも有安さんは在学中に起業されていますよね?

当時、在学中に起業する人は今よりも珍しかったかと思いますが、例えば、情報収集の仕方、どんな経験を積んだのか、ターニングポイントとなったタイミングなど周りとの差異を生んだ理由がございましたらざっくばらんにお話し頂きたいです。

 

有安:

そうですね、学外で結構いろんな人に会いに行ったりとか、イベントに行ったりとかしていて…

 

斎藤:

起業家の方々に会ったりしていたのですか?

 

有安:

そうそう。とにかくどんどん思いついたら動くというのを意識していました。後は当時は渋谷がビットバレーと呼ばれていた時代で、堀江さんの会社がオンザエッジ(現ライブドア)っていう会社名だった頃です。「ネットベンチャーとは」みたいな雑誌みたいなものが発売されていたのですが、それみてるとインターンの情報が紹介されていたりして。当時は、インターンっていう言葉は誰も知らなくて、「何?インターンとか。医者?」と言われるようなくらいだったのですが、そういったものを色々とやったりしていました。

 

斎藤:

例えばどういったことをされていたのですか?

 

有安:

新規事業立ち上げのインターンをやってみたり、あとはSFCの中だと建築系のサークルに入ってみたりとか、あと株式投資クラブもやっていました。

 

斎藤:

え、投資クラブがSFCにあったのですか?

 

有安:

はい。SFCのサークルだったのですが、メンバーの中に大学院の金融工学を専攻している大学院生が何人もいて、そういう人たちがリーダー的にやっていました。20人くらいで10万円くらずつ出し合ってお金をプールしして、IPOのブックビルディングに応募したりしてましたね。とにかく面白いじゃん、って思うものに頭を突っ込んでみるっていうようなことをやっていて、ゼミも一年生のときに4つとかに顔だしていまでした。実は今よりも当時の方が僕は尖ってたから、ガンガン発言するし、質問もするし、発表もするし、というのを4つのゼミでやってて、そこで「1年です」って言っていたら、皆が自分のことを大学院の1年だとずっと誤解されてました。という感じで、生意気な大学一年生だったんだけど、たまたま色々と顔を突っ込んでいるうちの一つの株式投資クラブの大学院の先輩が、シリコンバレーでベンチャーキャピタルやっていた日本人が日本に帰ってくるから面白そうだしおいでと誘われて、「会います!会います!」と言ってすぐ会って、そこで凄い意気投合して、その人と2回目に会って、すぐ一緒に起業することを決めました。僕が大学1年生の時ですね。その相手の方は当時25か26くらいだったかな。今はUNITEDって会社の社長の金子陽三さんが、その人です。彼も、SFCの卒業生です。

 

つまり学生生活はスポーツばかりやっていたっていうのがメインで、スポーツをやっていない時は、自分はこれが向いているというのは特に決めつけずにとにかく色々なところに頭突っ込んで、結構色んなことをやっていたという感じでした。出会いは大切にしてました。で、ひょんなきっかけで、社会人2人と僕の3人で共同創業でスタートアップを起業した。

 

学生時代最高の選択はSFCに入ったこと

 

斎藤:

そんな中で学生生活の最大の成功と失敗は何だったのでしょうか?

 

有安:

最大の成功は、間違って三田に進学しないでSFCに進学したことですね(笑)家族には「なんで経済学部にいかないの?法学部にいかないの?」と言われたような気がするけど、「いやいやいや、そういう時代じゃないでしょう。昭和かよ」と言ってSFCにして。しかも家が都内の方にあってSFCまでもの凄く遠かったので、片道二時間とかかかって本当に辛かったけど、それでもSFCを選んで本当に良かったと思ってます。今でも、SFC時代の仲間とビジネスのやりとりもあるし、SFCの卒業生ってそんなに多くないから、やっぱりインターネット業界でビジネスやる上で結束があるので、SFCに行ってよかったなと思います。

 

失敗はなんだろうなー、あ、失敗は本当に学生時代しかできないことを、もっとやっておくことが一つだったかな。

 

斎藤:

例えば?

 

有安:

世界を回るとか。

 

斎藤:

あ、そうしたらメルカリの山田進太郎さんみたいに放浪したりするのはどうですか…?

 

有安:

そうだねー、でも学生時代にやりたかったかな。責任も一切ないし、失うものもないから。あとは、勉強しなかった人は凄い勉強した方がよかったと後悔することが多いって聞きます。僕は結構勉強も一生懸命していて、論文とかも超読んでたし、ゼミとかも一生懸命行ってたから、あんまりそういう勉強しておけばよかったな、っていう後悔はないです。

 

斎藤:

外部の活動もそうですし、学校の研究も両立されてたのですか?

 

有安:

うん。まあ、大学生時間もあるし暇だからね。

 

斎藤:

そうですね、特にSFCは時間割自由に組めますしね。

 

有安:

そうだね、だから忙しそうにしている大学生は嘘だなって思います。後はアルバイトはもっとやれば良かったと思ってます。もっといろんなアルバイト、マクドナルドとか凄いやりたかったな。そういうエクセレントカンパニーの末端の仕事ってすごく勉強になるので。マクドナルドだとマニュアルをビデオで観たり、スタバだと逆にマニュアルがなくて価値観のインプットをひたすらしっかりとやっている、そういう違いとか、そういう現場での実体験からくる学びは今だとなかなかできないから、そういうのはやっておけばよかったかなと思いますね。

 

斎藤:

起業前後で生活はどのように変化しましたか?

 

有安:

生活は基本的には変化はしてないかな。

 

斎藤:

確かに元々そのような環境にいてそういう生活をしてたら、自然な流れで起業をした感じですね。

 

有安:

そうだね。だからあんまり変化はしてないかな。強いて言えば、毎回起業をするとパンツを履く速度が早くなることかな(笑)

 

斎藤:

どういう意味ですか??

 

有安:

そういう細かいこととかどうでもよくなって、早く会社行きたくなるし、早く起きて朝ご飯食べて家の外にでたくなるし、そんな感じで色んなことがやりたくなる感じです。のんびりしなくなります。

起業するも就職するも納得感が全て 面白そうな場所を選べばいい

 

斎藤:

卒業後はユニリーバへ就職されていらっしゃいますが、当時はどういった思いでその選択されたのでしょうか?起業を考えている学生の中には卒業後の進路に悩む人も多いかと思います。

 

有安:

僕も凄い悩んだんですけど、でも悩んでも結局自分の納得感が全てだと思ってて、その時もしまたもう一回勝負できるネタを見つけて起業してても、ユニリーバに行ってても、もしくはユニリーバ以外でも何社かで凄い悩んでたんだけど、どこいってもあんま変わってなかったかなって思っていて。結局は多分また起業してたと思うし、自分がその時、納得感を持って頑張れる場を選べるなら結構どこでもいいかな、って思います。

 

斎藤:

じゃあ結構タイミングもあってユニリーバにって入ることにしたのですか?

 

有安:

僕は当時マーケティングかファイナンスのどっちかのプロになりたいと思っていて、マーケティングは人の心を扱う話で、ファイナンスは数字を扱うリソースのアロケーションの話で、どっちが向いてるかなと考えた時に、マーケティングの方かな、と思って、決めました。じゃあどうしたらマーケティングを学べるんだろうと色々と考えてみると、消費財のマーケティングが一番進んでいて、消費財だとメーカーで、メーカーだと色んな会社が何千とあるけど一番進んでるのはどこかなってなった時にやっぱり外資で、中でもP&Gとかユニリーバとかが凄い進んでるので、そこのフレームワークはちゃんと学ぼうと思ってユニリーバに行きました。あと、外国人と一緒に働いてみたいなと思って、外資に行った、という二点かな。

 

斎藤:

そこは学生からそのままずっと起業という道を行くよりも、企業に1回入った方がいっぱい学べるんじゃないかと考えたんですか?

 

有安:

んー、学べるという考え方はあんまりしなくて、そっちの方が面白そうかなと思って。また起業したいなってなったら起業すればいいし、別に起業するよりもそっちの方が面白そうだから選びました。

 

斎藤:

なるほど。ではそんなに起業と就職を切り離して考えていたわけではないという感じですね。

 

有安:

そうそう。自然体です。あとは、人生長いし(笑)

 

大学生はデジタルネイティブとしてのセンスを活かした挑戦を

 

斎藤:

ところで有安さんは「在学中の起業」と「卒業後の起業」、また就職まで経験されていますが、ご自身の考えるそれぞれのメリット・デメリットは何でしょうか?

 

有安:

在学中起業だと、まだ色々な業界のことを知らないからBtoBとかはやりにくいですよね。後は専門的なこと、例えばFinTechの事業は結構大変だと思います。そうなると結局ちょっと昔だと、学生がやるビジネスって、Webの受託だったり、学生インターンの斡旋、キュレーションメディアなどが多くて狭まってしまう。

 

斎藤:

そうですね。

 

有安:

メリットは、デジタルネイティブだしセンスがいい人は大学生の中でも出てくるから新しい消費のスタイルとか、新しいスマホ動画の消費のされ方とかそういうことに関して正しいユーザー感覚を持っているということですね。そういう意味ではその領域だったらむしろ成功確率が高いので、大学生が大学生らしい勝てるところで勝負するのはいいんじゃないかな。

たまに「それを君がそれやるのか?商社で10年働いた人の方が絶対向いてるよ」と思うことがあります。

 

斎藤:

そしたら卒業後の起業や就職のメリット・デメリットは何でしょう?

 

有安:

就職はメリット・デメリットというより、は自分がやりたいこと、社会に提示したいことが出てきたら起業すればいいから、それまでは就職して、自分を鍛えとけばいいかなと思うんですよね。これなんか行けるなとか、ちょっとリスク取って勝負できるなって思うことが出たら、起業ってやっぱり大変なので誰もが向いてるとは全然思わないし、大企業の中に属してプロの経営者として成果をだす人もいる。自分がやりたいと思うものを見つかったらやればいいかな。

 

投資の決め手は「市場選択」と「原体験に基づいた原動力」

 

斎藤:

そうしましたら有安さんが「イケてるな」「投資したいな」と思える学生起業家とは、どのような人またはチームなのでしょうか?具体的にこの人はイケてると思う方がいらっしゃいましたら是非教えて頂きたいです。

 

有安:

投資したいなと思うのは、頑張る理由がある人、やり続ける人ですね。事業の成否って市場領域で多くの部分が決まるんですよ。市場選択だから、チームが優秀とかその人の学歴とか、ほとんど関係なくて、市場領域がすごい良くてそこでしっかりストラグルしてれば結果みんなうまく行く。いい市場選択してると、市場で競争が起きて、その過程で社長もチームも鍛えられる。頑張る理由がある人っていうのは、実家がずっとそういう領域をやっているけどもその業界が古すぎて問題意識を感じていてディスラプトしたいと思っているとか。後は事業コンセプトなどが自分の強い原体験に基づいてるとかです。

 

斎藤:

すごいSFC生らしい考え方ですね。私も原体験に基づいた問題意識は重要だなと思います。

 

有安:

「何か手っ取り早く儲かる商売、ないっすかねー」みたいな人だと、その人の言う儲かるは数億円とかだから、数億円儲かるとか頑張ればできるから、そしたらもう辞めちゃうじゃん。そうすると、あんまり面白くないなって、長期ででかく勝負したい、そういう人のほうが投資したいですかね。

 

斎藤: 具体的な人はいらっしゃいますか?

 

有安:

具体的にイケてる人はいますよ。今、投資検討中なのでまだ言えませんが、今日も何件かミーティングしてきました。あとは学生かどうかはあんまり関係ないかなと思ってて、学生でも頭がいい人はいっぱいいるし、社会人でも頭悪い人もいっぱいいるから、年齢や肩書はあんまり関係ないかなと思ってます。

 

斎藤:  

私もそこは関係ないと思っているんですけど、環境は学生と社会人で変わるかなと思います。

 

有安:

でも例えば僕は17歳の女性起業家に投資して、彼女は高校卒業して大学には行かずに起業しているけど、彼女が大学生かどうか、その点について投資家はあまり気にしていないと思う。どうでもいいからそういう話をしてない。

突撃事業相談はメッセンジャーでも 自分の分からないことはチャットで聞きまくる

 

斎藤:

なるほど。そういえば友達の起業している人が、有安さんもご登壇される12/3(日)のKBC Summitにくるって言っていたので何する予定か聞いたら、有安さんに突撃相談しに行くっていっていました。出資はデットファイナンスで行こうと思ってるけど、事業アイデアの相談したとのことだったのですが、当日そういったことは可能ですか?

 

有安:

どうぞどうぞ。むしろメッセンジャーくれればいいのに、よくそういうメッセージ来ますよ、1ヶ月で20〜30人くらい来る。

 

斎藤:

そんなくるんですか!それは全部目を通しているのですか?

 

有安:

議論に意味がありそうなら返しますよ。そこから直接会ったりもするし、投資が決まったのも何件もある。みんなエンジェル投資家は結構見てると思うよ、ツイッターのDMも。

 

斎藤:

伝えておきます!逆に尊敬されている方はいらっしゃいますか?この人から学んだなだとか…

 

有安:

クックパッドの前の社長の穐田さんは一緒に仕事をしていてすごい勉強になりましたね。彼は経営と投資を切り分けずにうまくやっていて、それが大切だなと思って僕は今投資を一生懸命やっています。

まぁ、でもみんな周りの人がそれぞれ得意な分野で凄みがあるから、ピンポイントで色々な人が自分にとって先生だと思っています。だからチャットで人に聞きまくって、かなり色々教えてもらいます。そういう感じで何人か自分を助けてくれる人たちがいると色々と上手くいくことが多いです。

 

斎藤:

ありがとうございます。そうしましたら最後に、起業したい、面白いことをしたいと思っている学生へメッセージをお願い致します。

 

有安:

始めるのに遅いということはないので、アイデアを思いついて「これ、いけそう!」と思うことがあれば、すぐにスタートすればいいと思います。起業したいと思ってるならやればいいし、別に誰もが起業家に向いているわけじゃないので、自分にぴったりの所を選ぶ、場所を作ることが重要です。なので、それを見つけるためにために色んな所に頭突っ込んでみたり、顔を出してみたりして下さい。

 

本当に起業したいって言うなら、常にチャンスって転がってる。日本では今ファンドはどんどん立ち上がってるしVCマネー(ベンチャーキャピタルマネー)も流入してCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)もたくさんある状況なのに、起業家も良い事業も足りないので高校生でも大学生でも、社会人でも良い事業と良い起業家であればお金が集まるっていう起業家天国です。こんなバブル生まれて初めてというぐらいの良い環境なのでそういう意味では、やれることがあればやったほうがいいと思います。

 

あとたまに「どこどこの領域で起業したいのでちょっとまず修行でコンサルに行きます」って言う学生がいるけどそれは絶対ダウト。人脈を築く必要があるから、まずは貯金するから商社行くとかもだいたい嘘です。それだったらさっさとその日のうちに起業した方がいい。それは別に法人登記しろって意味じゃなくて事業づくりを始めるという意味で、その方が成長のスピードは早いし、どんどん”起業家”になっていきます。

 

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大変お忙しい中、急なご提案であったのにも関わらず快く引き受けて頂きまして、本当にありがとうございます。KBCメンバー一同感謝しております。KBC最大のイベントであるKBC Summit 2017でもご登壇頂き、ピッチをした学生とのやりとりに会場は大盛り上がりでした。引き続き何卒宜しくお願い申し上げます!

 

(文責:斎藤夏美 @nachara_xxx