ハーバード・ビジネス・レビュー未来をつくるU-40経営者20人。【仁禮彩香氏 インタビュー】

メインストリームから外れ、自らの道を突き進む人の真相に迫るインタビュー記事を連載 する 『最”尖”端』。その3人目はHarvard Business Review 未来をつくるU-40経営者に選ばれた仁禮彩香さんです。中学2年生で既存の学校教育に疑問を抱き「子どもによる子どものための未来創造企業」である株式会社GROWPATHを設立、慶應SFC入学後は2社目となる株式会社Hand-Cを設立し、「人の成長プロセス」に革新をもたらすため精力的に活動しています。

 

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[聞き手:青木 話し手:仁禮(敬称略)]

 

小学校に違和感を感じた

 

青木

今回は仁禮さんの「活動」や「これまでの人生」、「苦悩や将来」についてお話しいただきたいと考えています。よろしくお願いします。

様々なインタビュー記事を読ませていただきましたが、幼稚園の頃の経験が人生の中で大きなウェイトを占めており、その経験から小学校の時に新しい学校を作ってもらったという記事を読みました。小学校を作ってもらうという一歩を踏み出せた理由はなんですか?

 

仁禮

小学校の時はあまりいろんなことを知らないので、情報がない中で考えた選択は尖ったりするじゃないですか。自分の想像力に任せて考えた時に、小学生の私が考えた今いる環境をより良くする方法は三つでした。今いる学校を変えるか、外にある違う学校を探すか、新しい学校を作るかです。そこで、自分がどこに一番行きたいかを考えた時に、自分が通っていた信頼できる幼稚園の先生に新しい小学校をつくってもらうのがいいだろうと考えました。その幼稚園で自分が「学んできた」実感があって、数少ない自分のデータの中で、身を任せられると感じる場所はそこしかありませんでした。そこの延長線のものを作ることは自分にとっては、他の選択肢よりはるかに安心できるし、必要としている選択でした。一歩踏み出さなきゃという感覚というよりは、どうしたらそれができるかしか考えていませんでしたね。

 

青木

自分が一番そこに魅力を感じたから選択したっていう感じなんですね。

 

仁禮

そうですね。自分が本当に良いと思う選択肢を選んだだけだったんですよ。

 

青木

その後、中学校は一般的な学校に通って、中学二年生で起業に踏み切ったことについて聞かせてください。

 

仁禮

小学校は、インターナショナルスクールだったので、海外に行くことや日本のインターナショナルスクールに行くのが、一般的な進路ではありますが、私は日本の教育システムにも関心があったので、一般的な日本の中学校を選択しました。私は不満が出たら、それを解決しないと、気が済まない性分なのですが、その時出た不満っていうのは、「つまらない授業が多いな」っていうことです。1限から6限まで、ネットで調べれば出てくる情報が流れ込んできました。この時間を自分が無駄じゃなかったと言えるようにしたいと思い、この経験を踏まえながら、外で自分を生かせる場所を作ろうと考ました。日本の教育について自分がもっと行動を進めたいという軸で考えた時に、ボランティア活動や社会的な団体とか色々考えられたけど、当時目に入ってきたものは大人がやっている胡散臭い団体が多くて、もう自分で作ろうと思いました。論理としては、自分の目の前に生まれた課題とか不満があるのにそれと向き合わない方がつらい、やらないより、やる方が全然ラクだったって感じです。

 

 

人が成長するプロセスに関心がある

 

青木

中学に入る時点で教育を強く意識してたって感じですか?

 

仁禮

教育というひとくくりよりも「人が成長するというプロセス」に対して関心がありました。それが人間にシステムとして反映されているのは、教育機関だなって思っていました。「日本の教育機関やばくね」って思って小学一年生の時に学校をやめたんですが、「やばくね」って思ったのは自分の主観で、すごく限られた実感だったので、具体的にどういうところが問題なのかとか、本質的に何がネックになっているのか、という部分をもっと知りたいと思いました。日本の学校に通わずして外から日本の教育について語るのではなく、実際にそこを受けて感じたことを表現できるようになりたいと思い、一般的な学校に通うという選択をしました。

 

青木

一般的な日本の中学校をそもそも選ぼうと思ったのは幼稚園での体験が大きかったからですか?

 

仁禮

幼稚園の体験からスタートしているのは間違いないです。私にとって初めての社会は幼稚園でした。幼稚園の先生と話すことがすごい好きで、先生側の人たちが何を考えて私たちにこういう授業を作っているかを聞いていました。

 

青木

それを幼稚園の時から考えてたんですか?

 

仁禮

はい、考えていました。私が通っていた幼稚園は、クラスを先生たちが3ヶ月に一回とか入れ替えをするんです。同じ年代でも分けたり、変えたりします。一斉にごちゃごちゃに組分けをするのではなく、あなただけこっちいってとか。わたしもそれで1人だけクラスを替えられたことがあって、「なんでなの」って、気になっていました。そこに何があるのかを知りたくて、そういう考え方で見ていました。そこで、この仕組みにどういう意図があるのか、園長先生に直接聞きに行きました。そこで納得したのは、限られている数の大人が多数の子供たちを見ていく時に、各々が別々の長所や短所がある中で、より学べたり、より自分を高められたりできる場所にするために、どういうグループを作れば、課題を一人一人が考え抜くサポートが上手くいくかを常に考えているという事でした。同じ年代で分けても、まだすごくゆっくりな子達とどんどんいきたい子達と分かれちゃうので、そこをファシリテーションする上で、分けてサポートした方がお互いにとっていい側面があるから、そういう風に分かれているんだよって教えてくれました。「そうなんだ」みたいな、そういう体験が自分の中にあって、小学校行ったときに「じゃあ、これはどうなってるの?」って思いました。

 

青木

「そんな考えられてないんじゃないか」みたいな感じですか?

 

仁禮

そう、「考えられてない」っていうか、「無理でしょ」って。こんな35人くらいのワーワー言ってる子供達を1人の先生が、一日中見てるわけで。

 

青木

SFCはどうして選んだんですか?

 

仁禮

まず、日本に残るか海外に行くかで、会社のソリューションは日本に提供するものなのでまだ日本にいたほうがいいと感じていました。高校生の時、研究という意味で向き合いたいジャンルが明確ではなかったので、学びたいものがでてきたら、それが学びやすい環境にいけばいいと考え、日本で事業も継続できて、臨機応変に学ぶ内容を更新できる、可変的なプロセスのあるSFCを選びました。日本好きだし、ご飯も美味しくて、仕事もできて、日本って不自由ないのに、いまあえて海外に行かなくてもいいなとも思ったのが、高校3年生の時の自分です。

 

青木

当時は自分の中のやりたいことが見えてないって言ってましたが、今は見えているんですか?

 

仁禮

ずっとやってきていることの本質は、人間の成長に対してのコミットでそこは多分変わらないです。だけど、どこでそれを表現するかという意味では、まだ見えてません。今、会社で言えば子ども向けのスクールと企業研修が主で、それだけやってても暮らしてはいけますが、私の中ではプロトタイプの一部ですし、その先に広がるものを追い求めています。

 

青木

目の前のことをやってるのは今、自分がやりたいことをやってて、実際に将来を考えた時には決めきれてない感じですね。

 

仁禮

その先のベクトルまでは決まってないですね。決まるときがくるまで待ちます。

 

 

どうにかなるだろうという根拠のない自信がある

 

青木

少し話が変わるんですけど、僕の目から見ると仁禮さんの人生は順風満帆に見えるのですが、今までやめようと思ったり、苦しかったり、辛かったりしたことはありますか?

 

仁禮

全然あります。一番は、高校卒業して大学入ったところくらいですね。一社目にGLOPATHという会社をやっていて、二社目を作ることになったのは平和的なプロセスでできたわけではなくて、もともとは利害関係の調整のためにやむをえず作られた会社でした。そこをやらないといけなったのはしんどかったです。訴訟回避のために作った会社だったので、その時は自分の目的を見失いました。GLOPATHは二十歳までと決めていたので、その先は大学に入って、どういう形で次、何をしていくのかっていうのをもうちょっと考えてから走りだそうって思っていました。それが全部ずれて、「あれっ」て感じになった時は焦るし、その時の自分は感情的でした。今考えれば大きな問題ではありませんでした。普通に解決できていたし、それってそこまでネガティブに感情を動かすよりも早く解決しちゃえばよかったと思っています。自分の私情も重なってあまりいい状況ではなかったからあまり仕事したくないって思っていました。それで恋愛に逃げました(笑)。だけど結局仕事の事ばかり考えていましたし、恋愛の方がうまくいきませんでした。そこでよくわかりました。自分は仕事が好きなんだなって。

 

青木

その辛かった時に、自分を動かす原動力みたいなものってなんだったんですか?

 

仁禮

1つはやらざるを得ないって事ですね。あとは、どっかでなんとかなるって思ってました。色々感情的になってしまったけど、実際のところ、これを解決して次にいきたいという自分の欲を知っていました。どうにかなるだろうという根拠のない自信があって、それを持って続けていました。

 

青木

ここまでの人生を振り返って、もし自分が人生をやり直せるとして、やり直したいことはありますか?

 

仁禮

ないないない。それは全然ないです。過去は考えたくないです。

 

青木

それは判断がしっかりしているからだと思うのですが、迷った時の判断基準をもってたりしますか?

 

仁禮

何に迷っているかを言語化して、それに対して、具体的にこうしたらいいんじゃないかっていう提案をいろんな人からもらって、その中で選んでいくのは自分の中での「これがいい」っていう感覚です。事実としてのソリューションは私よりも経験豊富な人たちに聞けるようになりました。それを元にして直感で選んでいます。

 

青木

いろんな意見を聞いた上で、自分がこれならかけられるって思えるものにかけるって感じですか?

 

仁禮

最後に自分が納得したものです。自分が納得してないものをやると結果的にはうまくいかない。何個か迷った事業があるんですけど、人はいいっていったけど、私がいいって言わないから情熱がそこに注げなくて。例えば協賛を取ってくるのは私なんですけど、自分がやりたいものじゃないと取れないんです。

 

青木

今やっている事業は全部自分が100%やりたいなってものですか?

 

仁禮

100%ではないけど納得できるものですね。これは意味があるとか価値があるとか。自分の中に価値を見いだせているのか。

 

青木

価値をどうやって問いかけていますか?

 

仁禮

選んだ後に何が起きるかを仮定して、その未来を自分が望むかですね。

 

「私だから」やると価値があることにパフォーマンスを発揮できる人になりたい

 

青木

今まで仁禮さんの人生についてお聞ききしてきましたが、仁禮さんの今後の野望は?

 

仁禮

今、私はプロジェクトをテスト的にやっていると思ってて、絶対的に私にしかできないことが見え隠れしている部分があるので、それを創っています。「私だから」やると価値があること、私が関わることで良くなる部分っていうことにパフォーマンスを発揮できる人になりたいです。それができた時に、本当の意味で、仁禮彩香という人がいることによって、地域とか国とか分野とか大きなレベル感で新しい価値が生まれたり、今までできなかったことができるようになったりする。そういう人間になりたいなっていうのはあります。

 

青木

最後に同世代に向けたメッセージをお願いします!

 

仁禮

この記事を読んでいる人は何かを探しているんじゃないかなって思ってて、何も考えてなかったらこういう記事にはあたってないと思います。そんな同世代におすすめなことは、10才20才上の”尖”っている人とたくさんお話をすることです。自分が悩みだと思っていたことがみじんこみたいに感じられます笑。私の同世代ということは、盛大にミスってもそんなに問題ないし、リスクも少ないという社会からの恩恵をまだ受けれている世代なので、共に気楽にいきたいです!

 

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